当該研究事業は、牛久市の社会福祉協議会を通して介護予防活動がこれまで行われてきた社会福祉協議会の建物(高齢者のたまり場)を利用し、毎週ウイークデイの5日間、認知症・フレイル予防活動を実践したものである。
まず、本企画を「人生をカッコよくプロジェクト」と命名し、これに関心がある方々に集まってもらうキックオフのイベントを開催する事より始めた。
また、参加頂いた方に現在の健康状態や物忘れの自己チェックを実施し対象層を把握した。
更に、運営担当としては従来から介護予防事業のボランティアの方々の中から希望者に、本研究におけるインストラクターになっていただくように指導し、プログラム開始準備とした。
プログラムは運動、脳トレーニング、マインドフルネス.それに医学や環境の面のミニレクチャーからなり基本的には機械を使い個人に実施頂く形を採ったが、集団会として全参加者に呼びかけて交流と意欲を促す試みも行った。
並行して参加率などの活動実態を記録しつつ、希望者には血液による認知レベルの評価や、脳活動に伴う血流をみる客観評価を行う準備をした。
更に認知症の人と家族の会スタッフによる相談窓口を開設し、認知症に関して不安や心配事がある方が自然に相談できるよう配慮し、必要に応じて初期集中支援チームや地域包括支援センター等につなぐ用意に努めた。
キックオフイベントには平均年齢が約73歳の132名が参加し大盛況となり、その後も開催期間を通して、1日あたり平均22名の参加者(登録者の約12%)を得た。実施期間を通して複数回参加したものは約67%であった。
マスコミと協働した告知に加え、インストラクターとなったボランティアの方が、口コミで多くの方々に参加を呼びかけ、実際にさらなる参加希望者が集まった結果である。
自己チェックやアンケートでは、認知症、フレイル(口腔課題)の順で該当者が多く元気な高齢者と言えども半数が二次予防対象に該当し、超早期予兆者を多数把握できた。参加者は非常に熱心に予防活動に取り組み、事後自己チェックやアンケートでは認知機能などを中心に若干の改善傾向が見られた。
相談窓口への相談も10名を超える人からの相談が寄せられ、自然な相談窓口の必要性が伺われる結果となった。こうした介入を通して目線の高さが同じ者同士が交流する中から自然と不安や心配ごとを相談してもらうことが、初期対応につなげる点で実際的かと思われた。
地域で認知症予防を進めるためには、三つのキーワード「①集う」、「②続ける」、「③つなぐ」が重要である。本活動の結果は「①集う」「②続ける」に関しては成功を収めたと思われる。
一方で、今後は「③つなぐ」が課題である。この課題について今後は、基本である市民と自治体の繋がりを実現するために、介入側同士、さらに介入側と自治体の連携を実現する具体策を出すことが重要と考える。